『連鎖』黒川 博行

小説

今回は小説『連鎖』黒田 博行著のご紹介!
なんと言ってもこのダイナミズムなハードカバー

手を出すまでは躊躇しましたが、読み始めると手が止まらない。
ミステリー小説なのかと思いきや、警察官の捜査を真正面から受け取るような本格警察小説
事件の捜査はこうやって行っていくのかと、感心させられる物語です。

書籍の情報を以下にまとめます▼

INFO
タイトル:『連鎖』
著者:黒川 博行
出版社:中央公論新社
発売日:2022年11月25日(初版発行)
メモ:本格警察小説

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あらすじ

「勤ちゃん、どえらい事件に関わってしもたな」
失踪した食品会社社長の遺体が、高速道路非常帯に駐車中の車内で発見された。多額の保険金、手詰まりになった資金繰り、不渡り手形・・・・・・。彼の死は自殺と推定され、捜査はすすめられるがーーーーーーーーーー。大阪・京橋署暴犯係の刑事、映画オタクの「勤ちゃん」こと上坂勤と、麻雀付きの磯野次郎のコンビが、丹念な操作と緻密な見立てで、絡んだ糸を一つ一つひもといてゆく。ほどけた糸の先に見えてきたものとは?

『連鎖』裏表紙より

読書感想

腹が減っては戦はできぬ

「腹が減っては戦はできぬ」という言葉がある。
どんなに忙しい状況でもお腹が空いている状態ではいいパフォーマンスを残せない。

むしろ、忙しい時こそランチには手をこめなければならない。
仕事において、ご飯を食べる時間がないくらい忙しいと言っている人ほど大した人ではない。

この話の本質は、果たして本当にご飯を食べる時間がないくらい忙しいのかということだ。
タスク管理をし、正しいスケジュールと正しい方法で進めていけば
食事をする時間は確保できるはずである。

また、メリハリも重要である。
人間の集中できる時間は高が知れている。
集中力の低下はそのまま品質にも影響を与える。

腹が減るという状況は、身体的なサイクルとしては正常なサインであり、
1日を正しく生きている証でもある。

お腹が空かないほど忙しいという状態は非常事態であり、
ましてやお腹が空いているのに食事の時間を削るというのは別世界の話である。

「腹が減っては戦はできぬ」という言葉は、正しい人間のあり方を示した言葉なのかもしれない。

仕事をしない上司

部下に指示を出し、プロジェクト(捜査)の管理を行う上司の中には仕事をしない人がいる。
つまり周りにやらせて自分は何もやらない人だ。

驚異的なマネジメント力があってプロジェクトが順調に進んでいれば問題はない。
しかし仕事をしない上司は、自分自身のマネジメントもできていない状態のため、
プロジェクトをうまく回せるはずもない。

1つ疑問なのは、その上司であっても過去には指示を出される側だったということだ。
その経験を活かしてマネジメントをする。
これは一般的な考えだが、過去の経験が悪い方に向いてしまうのだろうか。

プロジェクトというのは、チームメンバー同士の関係が大きな輪になる程いいものになる。
つまり、上司から部下、さらには部下から上司と言ったように
丸い円を描くように循環されている関係性だ。

綺麗な円が描けている状態は、いいコミュニケーションが築けている証拠であり、
プロジェクトも順調に進行していることを表す。

原作を超える作品はない

近年、原作(小説)が映画化されることが多くなった。
ここで問題になってくることは、結局原作の方が良かったという意見であろう。

この問題を紐解いていくと単純な考え方に辿り着く。
まずは小説と漫画の違いを考えてみる。

漫画は知っての通り、絵と文章で構成されたものだ。
一方小説は、文章だけで構成されている。
この違い突き詰めて考えると、このような考えが生まれてくる。

小説と漫画の違いは、想像力の幅が違う。
漫画は絵が存在するため、読者は共通したキャラクター像を描くことができる。
しかし小説は絵が存在しないため、登場するキャラクター像はそれぞれの読者に委ねられる。

するとどういうことが起きるかというと、読者は頭の中で理想のキャラクター像を描き始める。
例えば恋愛小説の場合、ヒロインの容姿は自分の理想系に左右される。

好みは人それぞれ違うわけだから、想像の人物も変わってくる。
したがって映画化された時にそのギャップに疑問を抱いてしまう。

映画の中で描かれているキャラクターは、
作り手の好みによって形作られていると言っても過言ではない。

まとめ

今回は小説『連鎖』黒川 博行著のご紹介でした!
本格警察小説として、事件が発生してから解決まで一通りの操作に触れることができる作品です。

フィクションでありながら、警察はこうやって事件を解決していくのかと
ものすごく納得させられます。

事件解決に向けて、小さいことから一つ一つ詰めていき、解決に辿り着いていく。
少しずつ謎が解けていく工程は自分も捜査に加わっている気分になれます。

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