【独自感想】『彼女たちが眠る家』原田 ひ香

小説

今回は小説『彼女たちが眠る家』原田 ひ香著のご紹介!
表紙に映るこの女の子のなんともいえない表情。
片目だけでこちらを見ているのには何か理由があるのでしょうか?

謎の多い作品ですが、読んでいくとこの表紙の意味合いが理解できます。

書籍の情報を以下にまとめます▼

INFO
タイトル:『彼女たちが眠る家』
著者:原田 ひ香
出版社:光文社
発売日:2019年1月20日(初版1刷発行)
メモ:『虫たちの家』を改題した小説

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あらすじ

九州の離島に、この家はある。ある共通の過去を抱える女たちが、世間から離れ、静かに共同生活を送る「グループホーム」。互いの本名や出自も知らないまま、厳しい禁忌のもとに行動する彼女たちの家に、ある奔放な親娘が入居したことで、その日常が大きく崩れていく。女たちが迷いと衝突、葛藤の先に見える地平とはーーーーー。話題作を次々ものする著者が放つ、感動長編。

『彼女たちが眠る家』裏表紙より

読書感想

選択肢をわざと無くす

選択肢の多さはその人の人生における充実度に比例する
お金にも余裕があって、生活にも余裕がある。
だからこそ、できることがたくさんあるのだ。

しかし、人生に生き辛さを感じている人にとって違う意味を持つ。
多くの選択肢は頭を悩ませる種に過ぎない。

どの道に進もうかと悩んでいるうちに、いつしかネガティブな思考に変わってしまう。
なんの取り柄のない私が進むべき道なんてない。

そういう時はわざと選択肢をなくしてみる
選択肢を減らすことで、考える隙もなく進むべき道が決まる。
すると、こんなにも気持ちが楽なのかと不思議に思う。

しばらくこの生活を続けていると、自ら選択肢を求めるようになる
これが本来の姿なのだ。
選択肢は与えられるものではなく、求めるものだ。

求めた選択肢の中からどれを選ぼうか。
ネガティブな思考はどこかに行ってしまった。

他人との適切な距離感

例えば、複数の友達や知り合いと外を歩いている時、
私は一歩後ろを歩きがちだ

私の一歩前では友達が楽しそうに会話をしている。
直接その会話に入ることはなく、ちゃんと聴いているわけでもなく、ただ後ろにいる状態
なぜかその距離感が落ち着くのである。

決して孤独な状態に陥っているわけではなく、自分の世界に耽っている。
頭の中では「帰ったら何しようか」とか「腹減ったなー」とかを考えている。
決して「腹減ったからどっかで食べて行かない?」とは言わない。

人それぞれ他人との距離感がある。
私にとってはこの距離感がちょうどいいのであろう。
これ以上近づきすぎると、ボヤッとぼやけてしまうみたいな

時々、その距離感を他人に求めてしまう時もある。
初めましての場で、必要以上に距離を詰めてくる人に苦手意識を抱く。
心と体の距離感は果たして同じなのだろうか?

過去から目をそらす

過去を変えることはできないが、未来は変えることはできる
とてもポジティブな考え方だ。
一方で、過去を整理しないと未来を見ることができない人は多いはずだ。

振り返りたくない過去からは目をそらす。
当然、過去という記憶の中にある物語から物理的に目をそらすことは不可能である。
つまり、ふとした時に思考を逆らって、過去を振り返ってしまうこともある。

それは臭いのきついものに対して、
なんだかわからないがまた嗅ぎたくなってしまう感情と似ているのか?
鼻を近づけるとやっぱり臭い。

何を隠そう、臭いものはいつまで経っても臭いのだ。
ものによっては臭さは増す。

振り返りたくない過去も同じように、いつ振り返っても変わらない過去なのだ。
過去の上からべっとりと、ヌメっとした輝かしい現在を塗りたくっても残り香は感じる。

過去の匂いを嗅ぎたくて今日も生きてる。

まとめ

今回は小説『彼女たちが眠る家』原田 ひ香のご紹介でした!
自分の過去と照らし合わせながら読み進めていました。

人によっていろんな人生がありますが、もし自分がこの小説に登場する人物と同じ立場になったら、
毎日何を思い生活していくのだろうと考えさせられます。
本編を読んでみないとわからない作品の一つでした。

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