【独自感想】『不可能な過去』堂場 瞬一

小説

今回は小説『不可能な過去』堂場 瞬一(著)のご紹介!謎と緊張感に満ちた物語の世界。堂場 瞬一の『不可能な過去』は、読者を時空を超えた冒険へと誘います。

この小説は、ただのミステリーに留まらず、深い人間ドラマと複雑な心理描写が織り交ぜられています。主人公たちの過去と現在が交錯する中で、読者は真実を求めてページをめくることになるでしょう。

書籍の情報を以下にまとめます▼

INFO
タイトル:『不可能な過去』
著者:堂場 瞬一
出版社:株式会社 角川春樹事務所
発売日:2023年1月18日(第1刷発行)
メモ:長編警察小説

あらすじ

「一事不再理」。刑事裁判で判決が確定した人間は、同じ事件で二度裁かれることはないという原則だ。その無罪を勝ち得た被告から、裁判の十年後、当時の担当刑事に手紙が届いた。「あの事件の犯人は、本当は私でした」と。相談を受けた追跡捜査係の沖田は、被告の足跡を辿り始めるが・・・・・・・。一方、神奈川県警に新設される追跡捜査班のアドバイザーとして招かれた西川は、ある未解決事件が気になっていた。二つの不審な事件がぶつかるとき、複雑に絡みあった謎が解き明かされる!書き下ろし長編警察小説。

『不可能な過去』裏表紙より

読書感想

目的をなくした人間たち

会社員としての生活は、多くの場合、定年を目指して仕事を続けることになる。定年後の悠々自適な生活を夢見て、日々の辛い仕事に耐え、努力を続ける。この期待は、仕事を続ける大きな動機の一つである。しかし、実際に定年を迎え、仕事をリタイアすると、人生における大きな変化が訪れる。仕事という日々の目的がなくなることで、急激に老いを感じ始めるのだ

仕事は単に生計を立てる手段以上のものであり、人間にとっての目的やアイデンティティを形成する重要な要素である。定年後に仕事を離れると、その目的が失われ、人生における方向性を見失いがちになる。これは、人間が何らかの目的を持って活動することによって、精神的な満足感や充実感を得ることができるためである

したがって、定年後の生活においては、新たな趣味や活動を見つけることが重要である。これは、仕事に代わる新たな目的を見つけ、充実した日々を送るための鍵となる。定年後も活動的に過ごすことで、心身の健康を保ち、老いを感じることなく、充実した生活を送ることができるのである。

小さな穴からダムの水を抜く

小さな傷がいつの間にか大きな傷に発展することは、人生の様々な面で見受けられる。これは身体的な傷だけでなく、心の傷や人間関係、さらには仕事上の問題にも当てはまる。初めは些細な問題や違和感として現れるが、それを見過ごし、適切な対処を怠ると、時間が経つにつれて問題は大きく複雑化していく。

例えば、体の小さな痛みを放置すると、重大な健康問題に発展する可能性がある。同様に、心の傷も、初期の段階で適切なケアを行わないと、深刻な精神的な問題につながることがある。人間関係においても、小さな誤解や不満が、話し合いによって解決されない場合、やがて大きな亀裂に成長する。

このように、小さな傷が大きな傷になる過程は、問題の放置や無視に起因することが多い。問題を早期に認識し、適切に対処することが重要である。小さな問題に対しても注意を払い、必要な場合は専門家の助けを求めることが、問題の悪化を防ぐための鍵となる。小さな傷を見過ごすことなく、早期に対処することが、大きな問題を未然に防ぐためには不可欠である。

可能性を食い尽くすもの

多くの可能性がある中で、一つの目立った可能性に焦点を当てることは、しばしば他の選択肢を見落とす原因となる。人は、特に魅力的または現実的に思える選択肢に引き寄せられ、他の多くの可能性を無視しがちである。この現象は、ビジネス、キャリア、さらには日常生活の決断においても見られる。目立った可能性が明確な道を提供する一方で、他の選択肢を探求する機会を奪うことになる。

しかし、その目立った可能性が何らかの理由で絶たれたとき、人は方向性を見失い、途方に暮れることがある。これまでの焦点が失われると、他の選択肢を探ることが困難になり、不確実性や不安を感じるようになる。この状況は、特に一つの選択肢に過度に依存していた場合に顕著である

このような状況を避けるためには、最初から複数の可能性を検討し、柔軟な思考を持つことが重要である。一つの道に固執するのではなく、常に他の選択肢を意識し、状況が変わったときに適応できるように準備しておくことが求められる。また、失敗や変化を恐れず、新たな可能性を探求する勇気を持つことも、不確実な未来に対処するためには不可欠である。

まとめ

今回は小説『不可能な過去』堂場 瞬一(著)のご紹介でした!この作品は、読者を時間と記憶の迷宮へと誘う、思索的な物語です。この小説は、単なるミステリーを超え、過去と現在が交錯する複雑なプロットを通じて、人間の心理と記憶の不確かさを巧みに描き出しています。

登場人物たちの深い心理描写と、予測不可能な展開は、読者に強い印象を残すことでしょう。本作は、ただの謎解きに留まらず、人生の選択、後悔、そして再生のテーマを扱っており、読後には深い思索を促します。堂場瞬一の独特な世界観と、人間の内面を掘り下げる筆致が光る『不可能な過去』は、ミステリー好きはもちろん、深い人間ドラマを求める読者にもおすすめの一冊です。

Amazonからの購入はこちら▼

Bitly

コメント