【独自感想】『全悪』堂場 瞬一

小説

今回は小説『全悪』堂場 瞬一(著)のご紹介!
殺人事件の容疑者が逮捕された。しかし決定的な証拠がなく無罪判決に。再捜査として追跡捜査係が繰り出すのだが、一度、容疑者として捕まってしまった人のその後の人生は苦労の連続。事件の真相も気になるところですが、殺人事件の関係者の人生模様にも目がいってしまいます。

書籍の情報を以下にまとめます▼

INFO
タイトル:『全悪』
著者:堂場 瞬一
出版社:株式会社角川春樹事務所
発売日:2025年1月
メモ:著者人気の警察小説シリーズ第13弾

あらすじ

一九九七年九月九日、新宿区の路上で会社員が襲われて死亡した。現場での目撃証言などから顔見知りの野澤力が逮捕されたが、決定的な物証がなく、最高裁にて無罪が確定した。その再捜査を命じられた警視庁追跡捜査係。同時に、追跡捜査係の前係長・鳩山から五年前に目黒で起きた強盗事件の再捜査の依頼が入る。若手の実地訓練で沖田に指導してほしいらしい。一見関係ない二つの事件がいつしか絡まってゆきーーーーー。大人気警察小説シリーズ書き下ろし第十三弾。

『全悪』裏表紙より

読書感想

想像の子育て

今日、息子が通っている中学校から連絡があった。仕事を早退し、急いで学校へと向かう。校庭では学年色である青色の体育着を着た三年生のクラスが寒空の中、サッカーの授業を受けていた。自分が中学生だった時、三年生はもっと大人に感じていたが、校庭でボールを追っている生徒を見ると幼さを感じてしまう。

下駄箱で貸してもらったスリッパを履いて廊下を進む。授業中だからスリッパのパタパタとした音を立てないように足を滑らせるように歩いていく。職員室を抜けた先に小部屋があり、息子はそこにいた。担任の先生と校長先生も同席している。

息子と学校を後にするまで、息子は一言も話さなかった。メインは担任の先生が、補足的な役割として校長先生が説明をした。ことの原因や息子が思っているであろうことも担任の先生が説明を行ったのだが、結局それは想像の範囲を超えることはない。

一度その想像を間違えると、全く違った結論に辿り着いてしまう。本当に息子はそんなことを考えていたのか。少し前を歩く息子の背中を見ながら私も想像するしかなかった。

スーツを着た男性

夏休みの期間を使って地元の幼馴染と同窓会を開くことになった。6月くらいから企画をしていたから卒業以来会っていなかった友達も参加をしてくれる。当時のことを思い出しながら準備をしていたのだが、あまり当時と印象が違っても変に思われてしまうことを恐れて少し地味な服をチョイスした。

同窓会の会場はごく普通の居酒屋。私が到着した時にはすでにほとんどの同級生が到着をしていた。久しぶりを伝える挨拶を軽く交わしつつ席に着く。すると目の前にいかにも高そうなスーツを着た男性が座っていた。ごく普通の居酒屋では少し浮いてしまっている服装だ。でも当の本人は誇らしそうにそこに座っている。

お酒も進み、場の緊張感も解けきった頃、スーツを着た男性が自分が手がけている事業について語り出した。どうやら複数の事業に携わっているようだが、同窓会という場ではあまり歓迎されない話題だ。同窓会ではどちらかというと過去の思い出話で盛り上がるという暗黙の了解がある。

しかし、スーツを着た男性はそんなこともお構いなしに自分の自慢話を続ける。周りの人たちも困惑な表情を浮かべはするが、話題を変えようとはしない。私もできることなら話題を変えたかった。しかしできなかった。なぜなら同窓会が始まってから2時間が経とうとしている段階でまだそのスーツを着た男性が誰だか分からなかったからだ。

身だしなみを気にしなくなったら黄色信号

朝、目を覚ますと体のだるさを感じる。昨日の夜はいつもよりも早い時間にベッドに入ったはずなのに。ここ数週間はこんな日が続いている。睡眠に対して試行錯誤を繰り返している。こないだは、逆に睡眠時間が長すぎるから翌朝に体のだるさを感じてしまうのかと思い、わざと遅い時間にベッドに入った。結果は肉体的にも精神的にもあまりよろしくなかった。

この体のだるさの原因はだいたいわかっている。仕事のストレスだ。その証拠に、休日の朝はこんなにだるさを感じない。なんなら少し早い時間に起きて、早朝からジムにトレーニングに行ったりもしている。それなのに平日、仕事のある朝になると体のだるさを感じてしまう。

それでも仕事には行かなければならない。体を起こして洗面台へ向かう。顔を洗って歯を磨く。いつもなら寝癖を治して髪をセットするのだが、今日は髪をセットしなかった。スーツに着替えてリビングの時計を見ると、家を出るまでにあと10分弱ある。

私は寝室に戻ってベッドに横になった。髪をセットしていないから、気にせずベッドに横になることができる。家を出るギリギリまで横になっていた。次の日、私は寝癖すら治さなかった。

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