今回は小説『疾走』重松 清著のご紹介。
本ブログで初めての上下巻作品。
表紙にはいかにもおぞましい男の絵が描かれています。
この男は物語の中でどのような役割を果たすのでしょう。
『疾走』というタイトルは爽やかな印象を持ちますがどうやら暗〜い話だと予想されます。
上下巻あるため、気合を入れて読まないと読みきれないかも。。。。
書籍の情報を以下にまとめます▼
INFO
タイトル:『疾走』
著者:重松 清
出版社:角川文庫
発売日:2005年5月25日
メモ:上下巻を購入すると表紙がつながってひとつの絵に
あらすじ
『疾走』上巻
広大な干拓地と水平線が広がる町に暮らす中学生のシュウジは、寡黙な父と気弱な母、地元有数の進学校に通う兄の4人家族だった。教会に顔を出しながら陸上に励むシュウジ。が、町に一大リゾートの開発計画が持ち上がり、優秀だったはずの兄が犯したある犯罪をきっかけに、シュウジ一家はたちまち苦難の道へと追い込まれる・・・・・・。15歳の少年が背負った苛烈な運命を描いて、各紙誌で絶賛された、奇跡の衝撃作、堂々の文庫化!
『疾走』裏表紙より
『疾走』下巻
誰か一緒に生きてくださいーーーー。犯罪者の弟としてクラスで孤立を深め、やがて一家離散の憂き目に遭ったシュウジは、故郷を出て、ひとり東京へ向かうことを決意。途中で立ち寄った大阪で地獄のようなときを過ごす。孤独、祈り、暴力、セックス、聖書、殺人ーーーーー。人とつながりたい・・・・。ただそれだけを胸に煉獄の道のりを懸命に走り続けた少年の軌跡。比類なき感動のクライマックスが待ち受ける、現代の黙示録、ついに完結!
『疾走』裏表紙より
読書感想
地方の都市開発
水田と海が広がる田舎町に大型リゾート施設が建設されることが決まった。
側から見たら、どこか知らない土地の土地開発話である。
しかし、そこに住む人々にとっては一大イベントだ。
住民の中には地元の開発に賛成をする者もいれば、反対をする者もいるだろう。
シュウジの住む町には、「沖と陸」の2つの地域が存在していた。
それらは、貧困層と富裕層(一般家庭も含む)がはっきりと分かれていた。
土地開発が行われるのは貧困層が暮らす「沖」の地区だった。
「沖」の住民は立ち退きを強いられるが、多額の金も手に入れた。
金が絡むと話が変わってくる。
田舎町は話が伝わるのも速い。
土地開発によって「沖と陸」の溝はさらに深まっていく。
兄の崩壊
シュウジには兄がいた。
とても勉強ができて中学では生徒会長も務めた。
しかし、頭のいい人というのはどこか上からモノを言う人が多い。
シュウジの兄は家では偉そうな態度をとることが多かった。
人を見下す態度も、実際に頭が良かったのだからしょうがないと思うしかない。
そんな兄が高校に進学した後、事件を起こす。
この事件をきっかけに家族は崩壊し、シュウジの人生は暗闇に溶け行ってしまう。
頭がいい人は挫折を知らない。
頭のいいまま人生をまっとうしてくれればいいのだが、途中で躓いてしまうと厄介だ。
自分を見失い、過去の栄光にいつまでもしがみついている。
いつまで過去に縛られているのか。
もしかしたら本人も既に気づいているのかもしれない。
ただ、そこから脱却する方法が思いつかないだけで。
頭がいいはずなのに。
疾走
シュウジは陸上部に所属していた。
競技は長距離だった。
走ることによって日々の複雑な出来事の整理ができていたのかもしれない。
シュウジにはエリという同級生がいた。
エリも陸上部で長距離選手だった。
シュウジよりも才能があり、顧問の先生も一目を置いていた。
そんなエリは交通事後に遭ってしまい2度と走ることができなくなってしまう。
走ることを取り上げられてしまったエリと走る気力を失ってしまったシュウジ。
いつしかシュウジはエリの足となり、エリの代わりに疾走する決意をする。
2人にとって疾走が意味するものはとても大切なことであった。
まとめ
小説『疾走』重松 清著のご紹介でした。
この作品は、1人の男の子(シュウジ)が様々な人に人生を振り回されながらも人生を歩んでいく物語。
読んでいると、かなりハードな内容に感情を揺さぶられます。
こんな人生は耐えられないと感じる部分が多々あります。
表紙に映る人間は苦悶の表情をしています。
苦しみに耐えながらも人生を全うする。
この作品を読むことによって人生観が変わるかもしれません。
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