『旅はゲストルーム』浦 一也

エッセイ

今回は『旅はゲストルーム』浦 一也著のご紹介。
建築家でありインテリアデザイナーの著者が実際に訪れた世界中のホテルについて、建築のプロ目線で紹介する作品。

読み手をくすぐるようなイラストも魅力的。
建築家ならではの考察は、今まで触れ合ったことのない新感覚です。

書籍の情報を以下にまとめます▼

INFO
タイトル:『旅はゲストルーム』
著者:浦 一也
出版社:知恵の森文庫(光文社)
発売日:2004年12月15日(初版1刷発行)
メモ:建築家・インテリアデザイナーの著者が実際に訪れたホテルを紹介

書籍情報

「採寸して一定の縮尺で平面図をまとめ、ディテールを写しとってみると、その部屋を設計した意図がよくわかるばかりでなく、サービスの姿勢から民族性にいたるまでさまざまな勉強になる」。アメリカ、イタリア、イギリスから果てはブータンまで。設計者の目でとらえた世界のホテル69室。実測した平面図が新しい旅の一面を教えてくれる。

『旅はゲストルーム』裏表紙より

読書感想

最小化して見えるもの

著者は日本で活躍する建築家・インテリアデザイナーである。
そして同時に、”世界中のホテルに旅した”旅人でもある。

特筆すべきは滞在するホテル室内の間取りから家具の仕様、水回りのデザインに至るまで事細かにスケッチ(メモ)を取るところである。

さすがデザイナーと言わんばかりのスケッチなのだが、くつろぎの空間を提供している場には決して合わない行動癖である。

事細かに描かれたスケッチはそれだけ眺めていても面白い。
昨今、インターネットを通して擬似的に旅行をする娯楽?があると耳にする。
著者のスケッチを眺める行為はある種この擬似旅行を連想させる。

物事は詳細化していくことで見えなかったものが見えてくることがある。
丁寧な心配りもそうであるが、雑な部分も見えてしまう。

ホテルという場所は表現が正しいかはわからないが、ピンからキリである。
一流ホテルであれば詳細化することでより丁寧さが際立つ。
細かい部分になってしまうが、そこが一流ホテルと言われる所以なのだろう。

ゲストルームから始まる旅

年齢が若い頃は旅の主役にホテル(旅館・宿)を位置付ける人は少ないだろう。
もっとも、旅の中で宿代を浮かそうと考える人も多いのではないか。

『旅はゲストルーム』を読むと少し考えが変わるかもしれない。
心変わりは単に高いホテルに泊まりたくなるというわけではない。
ホテルも立派な旅の一部になるということだ。

家具の配置から照明まで、なぜそれがこのように置かれているのか。
それは建築家またはインテリアデザイナーの思惑が込められている
旅先で求める非日常はこういったところからも感じられるのではないか。

家具の配置や間取りを気にし始めたら、実測をする一歩手前である。
次の日寝坊しないように気をつけなければならない。。。。

ホテルとの出会い

『旅はゲストルーム』を読んで思うことがある。
それはホテル(旅館・宿)は一期一会であるということだ。

ホテルのホームページを見ればおおよその情報は手に入る。
しかし、家具や照明といった実際に訪れてみないとわからない要素も多い。

ホテルの雰囲気は季節によってもさまざまで五感で楽しむことができる。
同じホテルを2度、3度と利用したとしても新鮮な気持ちになれる。

ホテル(旅館・宿)での思い出も旅先での土産話の彩りを飾る。

まとめ

『旅はゲストルーム』を読んで、ホテルは芸術品の要素があることに気がつきました。
建築家やインテリアデザイナーはひとつの作品として創り上げていく。

そこで旅のひとときを過ごせるというのはとても贅沢なことです。
『旅はゲストルーム』には合計で69室のホテルが紹介されています。
日本のホテルだけでなく、世界各国。

この本の中からお気に入りのホテルに行ってみるのも面白そうです。
いつしか旅の目的がホテルになるかもしれません。

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