【独自感想】『なぎさホテル』伊集院 静

ノンフィクション

今回はノンフィクション『なぎさホテル』伊集院 静著のご紹介!
「なぎさホテル」とは、逗子市にあった様式ホテル
皇族や芸能人など様々な文化人に親しまれ、映画の舞台にもなりました。

そんな「なぎさホテル」に著者である伊集院 静さんは約7年もの間住んでいました。
偶然出会ったこのホテルで暮らしていく中で、作家としての道を築かれました。

私は伊集院 静さんの著書を読んできた中でこのホテルの存在を知っていました。
しかし、詳しいストーリーを知らなかったため、今回この本を手に取りました。

書籍の情報を以下にまとめます▼

INFO
タイトル:『なぎさホテル』
著者:伊集院 静
出版社:株式会社 小学館
発売日:2016年10月11日(初版第1刷発行)
メモ:「なぎさホテル」は昭和63年に閉館

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書籍情報

「いいんですよ。部屋代なんていつだって」
東京での暮らしをあきらめ、逗子の海岸に立ち寄った若者を、家族のように温かく迎え入れた伝説の「逗子なぎさホテル」。若者はそれからホテルで過ごした七年余りの日々の中で小説を書きはじめ、大人の男への道を歩き出すーーーーーー。
作家・伊集院静の誕生まで、若き日に向き合った彷徨いと苦悩、それを近くで見守ってくれた人々との出逢いと別れ。今でも作家の夢の中に生き続けている大切な場所と時間を振り返り、作家としての原点を綴った貴重な自伝的随想。文庫化にあたり書き下ろされた「あとがき」を追加収録。

『なぎさホテル』裏表紙より

読書感想

根拠のない自信をつけさせてくれる存在

人から「天才肌だね」と言われるのが嫌いだ。
なぜなら、根拠がないからである。
「秀才だね」は努力が実ったという過程が存在する。

天才肌と言われても、じゃあ何を意識すれば成功を続けられるのかわからない。
また、不調になった時にそこから立て直す術を持ち合わせていない。

ひねくれた感情を持ってしまっているのだが、
「君は将来、大物になるよ」「君は絶対成功する」「君は大丈夫」
と声をかけてくれる人には好意を抱く。

「天才肌だね」といってきた人からは感じない、
暖かさや人を見る確かな目を持っているように感じるからだ
そういう人は決まって、言い続けてくれる。

根拠のない自信は、天気予報のようでいかようにも外れる。
しかし、根拠のない自信をいつまでも持たせてくれる存在が
身近にいることはとても幸せなことだ。

未来を予想することはできないのだから、
結局は根拠のない自信を武器に戦っていかなければならない
自信をつけさせてくれる存在に感謝をしよう。

経験したものの中からしか生まれない

アウトプットはインプットからしか生まれない
インプットなしにアウトプットをすることは不可能であり、
そんなことができてしまったら世界で一番有名になれる。

つまり私たちは、今世の中に存在するものをうまく使って自分なりの考えや
物体を生み出さなければならない

というか、すでにそうしている。

何者かになりたくて思い悩み、時間だけが過ぎてしまう時期がある。
誰でも人生に一度くらい経験することだろうが、
頭の中で悩み続けていても、インプットが増えることはない。

そういう時にふらっと、外に散歩に出てみる。
なんてない、普通の日だ。
しかし、思考を止めて外を歩いてみると、インプットのスタートがきられる。

悩む前に行動しろ
という言葉は、行動しないことに注文をつけているわけではない。
行動することで、割とすぐに解決することがあることを伝える言葉だと認識している。

考えて、行動して、また考えて。
決して考えることが悪いわけではない。

行動は、ちょっと散歩に出てくる。
これくらいの感覚でいい。

何かを達成するときはあちらからやってくる。

人生とはわからないものだ。
努力をしても叶わないことがある。
逆に、努力をしないと叶わないという考え方もある。

特に若い頃は自分の将来を想像し悶々とする。
二十歳を過ぎたあたりから異様に一年という歳月が早く感じ、
何者にもなっていない自分に焦りを感じ始める

過去を振り返っても、将来を想像してもあまりいい気分にはならない。
今を全力で生きることは、過去と未来から目を逸らす意味であり、
罠を仕掛けてじっと待つ状態と言ってもいい。

つまり、チャンスや成功はあちらからやってくるということだ
こちらとしては、やってきたチャンスや成功を受け入れる体制を整えておくしかなく、
無闇にあちらの首元を目掛けてはならない。

成功を掴んだ瞬間というのは感触がない
よく、オリンピックで金メダルを取った選手が口にする「実感がない」という発言はこれである。
受け入れ体制が万全であるほど、なんの手応えもなく成功を手にする。

成功を掴んだ感触は、ずっと先に訪れる。
そのときは、ソファーにゆったりと座り、酒を片手に外を眺めているのであろう。

まとめ

今回はノンフィクション『なぎさホテル』伊集院 静著のご紹介でした!
ふと立ち寄った逗子での出会いがきっかけで
7年もの間滞在することはなかなか想像ができませんが、運命ということなのでしょうか。

人生何があるかわからないという言葉がありますが、
この作品を読むと心の底からこの言葉に共感を抱きます。

人生焦らず、大きく待っていれば自然と進むべき道が現れると感じました。
作品の中で著書である『三年坂』に触れられていました。

どっかで見たことがあるなと本棚を眺めると、数年前に読んでいたみたいでした。
違った視点で読めるのではと、次はこの作品を読んでみようと思います。

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