【独自感想】『沈黙の終わり 上・下』堂場 瞬一

小説

今回は小説『沈黙の終わり 上・下』堂場 瞬一(著)のご紹介!
新聞記者がある事件をきっかけに過去に発生した事件の調査を進める物語。報道機関に勤める社員が事件の真相に迫る。そこには様々な障害に悩まされることに。。。。一筋縄にはいかない事件解決は、思いもよらぬ関わり合いが存在していました。

上・下巻に分かれた作品ですが、先を読み進めたい気持ちは最後までなくなることはありませんでした。現実世界とのリアリティーさも感じさせる内容となっています。

書籍の情報を以下にまとめます▼

INFO
タイトル:『沈黙の終わり 上・下』
著者:堂場 瞬一
出版社:株式会社 角川春樹事務所
発売日:2024年4月
メモ:新聞記者が事件の真相を追い求めるストーリー

あらすじ

千葉県野田市の江戸川沿いで、七歳の女児の遺体が発見された。そのニュースを知った東日新聞埼玉支局の古山は、埼玉でも四年前に八歳の女児の行方不明事件があったことを思い出す。調べてみると、その現場は今回の事件と江戸川を挟んですぐ近くだった・・・・・。三十年以上隠されてきた連続幼女誘拐殺人。縄張りに拘る県警の無駄なプライド。利権を死守したい政権による圧力。すべてを乗り越え、真相を追え!記者の魂を描いた傑作ミステリー。

『沈黙の終わり 上』裏表紙より

三十年以上に亘って県を跨いで繰り返されてきたのに、全てが未解決という幼女誘拐殺人事件。その真相を暴くべく、東日新聞の新鋭古山とベテラン松島、二人の新聞記者は取材を続ける。だがその最中、当時の捜査担当だった警察署長が自ら命を絶った。背後に蠢く大きな闇が見え隠れする中、古山はこの事件に疑問を持ったが故に圧力をかけられ辞めた、元警察官僚の女性覆面作家と会い・・・・・。権力、忖度、矜持ーーーーーーーメディアへの警鐘を鳴らす、傑作ミステリー。

『沈黙の終わり 下』裏表紙より

読書感想

成功の要因はシンプル、失敗の原因は複雑

目標を達成するためには行動力も大切だが、分析も重要である。この場合の分析とは、自分が実施してきたことを振り返り、結果に対する原因を探し当てることだ。なんでかわからないけど成功した、失敗した理由がわからない。このような状態では成長を右肩上がりにしていくことはできない。

成功した時の振り返り、失敗した時の振り返り。不思議なもので成功した時の要因は案外シンプルである。なぜなら、長期間に及ぶ練習やイメージトレーニングなどによって成功はある程度予想ができるからだ。つまり、準備してきたことに対する自信が成功へとつながっている。

一方、失敗した時の原因は複雑化していることが多い。まず、私たちは失敗したことを振り返りたくない。嫌なことはなるべく早く忘れたいと思うのが人間である。しかし、失敗した原因こそ振り返るべきであり、それを蔑ろにしてしまうとまた同じ結果を招いてしまうことになる。

失敗した原因は成功した時に比べて複数の原因がある。メンタル、技術、経験など至らない点が数多く挙げられる。ただ、そのすべてのメソッドを飛躍的に伸ばさないと成功しないというわけでもない。例えば、メンタルが弱い人でも高い技術力を身につけることによって弱いメンタルをカバーすることができる。だからこそ、失敗した時こそ様々な角度から原因を探り、アプローチすることが重要となる。

ピーク時を見極める

人生100年時代と言われている現代において、どの時点でピークを迎え、どの時点から下降していくのだろうか?私たちは高校時代、早い人であれば中学時代頃から将来の人生設計をする。その際、しっかりとした人生設計をする人もいれば、こんな人生が歩めたらいいなーなど緩く考える人もいるだろう。

その後の人生において、みんながみんな思い描いた通りの人生を送れるわけではない。もがき苦しみながらもなんとか前を向いて生活を送っていく人もいれば、スムーズに人生の階段を登っていく人もいる。

私たちは一生のうちに幾つかのターニングポイントを迎えると言われている。つまり人生を大きく左右する出来事ということだ。ターニングポイントをきっかけに人生の舵を大きく切り替えるのも充実な生活を送る一つの手段である。こと仕事においてはこのターニングポイントを機に別の仕事に挑戦をしたり、さらなる高みを目指したりする人も多いことだろう。

冒頭でも言った通り、人生100年時代と言われている現代で、いかにピーク時に最高潮の人生を遅れるかがポイントとなってくる。年老いて、体力も無くなってきている状態で新しいことに挑戦しようとしてもなかなかポジティブにはなれない。挑戦にはある程度のタイムリミットがあるということだ。

ある一定の年齢を過ぎてしまうと自分の力量は計り知れてしまう。どうせ挑戦したって失敗するだけ。このような感情が生まれてしまうのもその一つだ。挑戦は自分が持っている潜在的な力をまだ自分自身でも理解できていないうちに行ったほうがいい。100年という歳月の中でいつまで挑戦し続けられるのか。常に時間は進んでいく。

勘違いのまま死んでいく

人間は生きていく間に様々な勘違いをしていく。そのまま真実を知ることなく一生を終えることもしばしばだ。真実は必ずしも私たちを幸せにするものではない。つまり、真実を知ってしまったことによって心が傷ついたり落ち込んでしまったりする。そんな結末が待っているのだとしたら、いつまでも勘違いをしていたほうがいい。

例えば私たちが日々食べているものや飲んでいるものが人体にどのような影響を与えているのか、その真実は知らない。時々、ジュースにはこれだけの砂糖が含まれているなど人体に悪影響を与える情報を目にすることがある。しかし多くの人たちは、だからといって全くジュースを飲まないというわけではない。

このように私たちが知らないだけで、人体に悪影響を与える食べ物、飲み物は他にも存在することだろう。一方で、人体に好影響を与えるものだけを摂取した場合、私たちの生活は幸福に満たされるのだろうか?決してそうではないことは想像に容易い。

好きなものを食べ、好きなものを飲むこと自体が、心を満たし幸福感を得られることを私たちは知っている。人生にとって何を優先するべきなのか。それは長距離をずっと走り続けることよりも、短くとも幸せな時間を過ごすことこそが真実だと勘違いしているだけなのか?

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