【独自感想】『どちらかが彼女を殺した』東野 圭吾

小説

今回は小説『どちらかが彼女を殺した』東野 圭吾(著)のご紹介!加賀恭一郎シリーズの3作目となります。ある女性が殺害された事件を巡り、疑惑と秘密が交錯する中で、真相を追求する人々の姿を描きます。

さまざまな人物の視点から物語が進行し、読者は自ら推理し、真相に迫ることを要求されます。この作品の特徴は、物語の中で犯人が特定されないところです。袋とじの付録がついていてそこに犯人を特定する手引きが記載されています。そのため、この作品は読者自らが犯人を特定する必要があるということです。

書籍の情報を以下にまとめます▼

INFO
タイトル:『どちらかが彼女を殺した』
著者:東野 圭吾
出版社:株式会社 講談社
発売日:1999年5月
メモ:人気の加賀恭一郎シリーズの3作目

あらすじ

「お兄ちゃん以外、信じられなくなっちゃった」電話は切れ、妹は殺された。愛知県交通課の兄・和泉は、犯人への復讐を決意し、現場の証拠を隠蔽する。容疑者は元恋人の男と親友の女。決め手が見つからないなか、練馬書の加賀刑事だけは兄の工作を嗅ぎ取る。あなたに真相が見抜けるか。究極の”犯人当て”小説。

『どちらかが彼女を殺した』裏表紙より

読書感想

人間の情緒が崩れる時

人間の情緒が崩れ落ちるとき、必ず何らかのトリガーが存在する。これは突然訪れるものではなく、何らかの要因がその状態を引き起こす。しかし、なぜそのトリガーに気付かないのか。それは人間が常に一人称の視点で生きているからだ。一人称の視点では、自分の感情や行動に焦点が置かれ、客観的な視点が欠如している。逆に、三人称の視点から見ると、客観的な視点が可能となり、自分の状態を客観的に捉えることができる。この客観的な視点があれば、情緒を崩すトリガーに気付くことができるかもしれない

また、一人称で生きることによって、自分の感情や思考に囚われ、客観的な分析が難しくなる。この状態では、自己の視点が狭まり、トリガーを見逃す可能性が高まる。そのため、客観的な視点を持つことが重要であり、自己認識を高めることが必要である。

自己分析や他者とのコミュニケーションを通じて、自己の感情や行動を客観的に見つめ直し、トリガーを理解することが重要である。正しくトリガーを見つけられることで、再発を防止したり、回復の道筋を定めることが可能となるだろう

殺人の同期

殺人の動機は様々であり、中でも「突発的な殺人」が一番多いと言われる。このような殺人は、明確な動機がない場合が多く、犯行直前に衝動的に行われることがある。一方で、計画的な殺人は確固たる動機が存在し、犯行に至るまでの行動がそれを支える。実際、計画的な殺人は動機がガソリンのように行動力を与えるとも言える

事件報道を見ると、突発的な殺人の動機に驚くことがある。しかし、私たちは事件の真相を知ることはできない。それでも、犯罪の防止に取り組む人々にとっては、見て見ぬ振りは許されない。動機を明らかにし、人間の感情や行動学を理解し、犯罪の軽減に努める必要がある

犯罪の防止には、まず犯行の背景にある動機を解明することが重要だ。また、社会的な支援や教育、心理的なケアなど、犯罪に至る要因を取り除く取り組みも必要だろう。その上で、個々のケースに適した対策を講じ、犯罪率の軽減を図っていくべきである。

罰による抑止力

被人道的な行為に対しては、それに見合った罰が与えられる。これは社会の秩序を維持するための重要な仕組みである。しかし、歴史を振り返ればわかるように、いつの時代も一定数の凶悪事件が発生している。これは、罰の抑止力が不十分である可能性を示している。

人間は理性的な生き物であり、罰を恐れているからといって凶悪な事件を起こさないわけではない。むしろ、そもそもの理性がそれを阻止していると言えるだろう。つまり、凶悪な事件を引き起こす人々も、ある種の理性の枠組みの中で行動しているのだ。

罰が十分な抑止力を持たない理由は複数ある。社会的経済的格差や教育の不均衡などがその一因となっている。また、罰が不公平であったり、適切に執行されなかったりすることも抑止力を低下させる要因となる。

社会全体での教育や支援の充実、そして公正かつ厳格な法の執行が必要だ。その上で、個々の事件に対しても、その背後にある理由や状況を理解し、再発を防ぐための対策を講じることが重要である。結局のところ、罰を与えることだけではなく、根本的な社会の問題に取り組むことが、凶悪な事件を減少させる道筋に繋がるのではないかと考えられる。

まとめ

今回は小説『どちらかが彼女を殺した』東野 圭吾(著)のご紹介でした!複雑な登場人物たちと、巧みに編み出されたストーリーが、読者を引き込み、終始手に汗握る展開へと誘います。物語の中で明かされる真相は、予想を裏切り、思考を挑発します。

読者は一緒に推理し、事件の謎を解き明かすことを求められます。これまでの推理小説とは一味違った読後感を味わいたい人におすすめの一冊です。

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