【独自感想】『幻夏』太田 愛

小説

今回は小説『幻夏』太田 愛(著)のご紹介!すっかり太田 愛さんの作品にハマってしまいましたね。本作品も『犯罪者』、『天上の葦』に続いて主要メンバーが登場する作品です。

本作品を含めたシリーズものを時系列に並べるとこのようになります。

1.『犯罪者』2017年1月25日(初版発行)
2.『幻夏』2017年8月25日(初版発行)
3.『天上の葦』2019年11月25日(初版発行)

この順番に読んでいくとシリーズを一通り読むことができます。私はへんてこりんな順番で読んでしまいましたが。。。。。

書籍の情報を以下にまとめます▼

INFO
タイトル:『幻夏』
著者:太田 愛
出版社:株式会社 KADOKAWA
発売日:2017年8月25日(初版発行)
メモ:シリーズもの

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あらすじ

毎日が黄金に輝いていた12歳の夏、少年は川辺の流木に奇妙な印を残して忽然と姿を消した。23年後、刑事となった相馬は、少女失踪事件の現場で同じ印を発見する。相馬の胸に消えた親友の言葉が蘇る。「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」あの夏、今、何が起ころうとしているのか。人が犯した罪は、正しく裁かれ、正しく償われるのか?司法の信を問う傑作ミステリ。日本推理作家協会賞候補作。

『幻夏』裏表紙より

読書感想

台風の思い出

子供の頃の夏休み、台風の接近は外の世界と家の中の安全な空間との間に明確な境界を与えた。窓越しに荒れ狂う雨を眺めることは、家の中にいる私に特別な優越感さえ感じさせた。その雨音は、夏の記憶の中で特別な場所を占めている。

台風の日は外出が制限され、家の中で過ごすことが多くなる。一見、退屈な時間に感じてしまうが、いつも見慣れた外の風景、庭、木々、空。それらが荒れ狂う台風にさらされている姿は特別な雰囲気を纏っている

また、外と家の中とのギャップも新鮮だ。外の世界が混沌としている中、私は家の中で安全に過ごしている。その安全な場所から、外の荒れ狂う自然を眺めることは、外とは対照的に私の心を穏やかなものにしてくれた。

不良品の取り扱い方

生産の現場やビジネスの世界では、一定の基準や品質を満たすために「良品」と「不良品」の区別が行われる。この考え方は、効率や経済性を追求する上での必要性から来ているのかもしれない。しかし、人間の世界においても、同様の「良し悪し」の評価が無意識のうちに行われがちだ。学業の成績、職場での業績、さらには人間関係やコミュニケーション能力など、多岐にわたる領域でこのような評価がなされる。

しかし、人間という存在を単純な「良し悪し」の基準で評価することは、その本質を見過ごすことになる。人々の中には、それぞれ独自の個性、経験、価値観がある。これらの個性や特性は、一人ひとりが持つ独特の色彩や魅力を形成している。そして、それぞれの色彩が集まることで、社会全体が豊かで多様なものとなるはずだ。

「不良品」と一括りにされることのないよう、人々の個性や特性を尊重し、その中に潜む可能性や価値を見出すことが重要となる。人々の違いや個性を単なる「良し悪し」のカテゴリーで捉えるのではなく、それぞれの持つ独自の価値を認識し、尊重することで、より共生的で理解し合える社会を築くことができるのではないか。

成長のお披露目会

人間の成長は、日々の努力や経験を通じて形成されるものであり、その過程は多岐にわたる。努力の過程やその背景には、個人の価値観や哲学、そして感じる感情や考えが深く関わっている。そのため、努力の過程を他人に見せるか、隠すかは、個人の選択として尊重されるべきである。

一部の人々は、自らの努力や挑戦の過程を公然と見せることで、他者とのコミュニケーションや共感を得ることを重視する。一方で、努力を隠したいと考える人々も存在する。彼らは、成長の過程は内省的なものであり、それを他者に見せることは必要ないと考える。

成果や結果を通じてのみ自らの成長を示すという考えは、他者との関係性においても一つのスタンスである。他人からの評価や期待に左右されず、自らのペースで成長を追求することは、自己の成熟や自己認識を深める上で有益であると言える。結果としての成果を通じて、自らの努力や成長を示すことで、他者との関係性もより健全なものとなるであろう。

まとめ

今回は小説『幻夏』太田 愛(著)のご紹介でした!『犯罪者』、『天上の葦』に続いてシリーズものを読み終えました。登場人物たちも個性的なキャラクターで続編を期待するファンも多いのではないでしょうか?私もそのうちの一人です!

シリーズの中には、上・下巻にまたがる長編作品もあり、なかなかのボリュームなのですが、ストーリーの後半になってくると毎回、「もう終わってしまうのか」という感情になってしまいます。今回ご紹介した『幻夏』は1冊で完結してしまう作品です。あっという間に読み切ってしまいました。

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