『ハヤブサ消防団』池井戸 潤

小説

今回は小説『ハヤブサ消防団』池井戸 潤著のご紹介!
かなりページ数のある作品でしたが、飽きずに読むことができました。

表紙のデザインからはどこか、田舎のほんわかとした印象を持ちますが、
ジャンルはミステリー。
田舎町で繰り広げられる事件の数々に引き込まれてしまいます。

書籍の情報を以下にまとめます▼

INFO
タイトル:『ハヤブサ消防団』
著者:池井戸 潤
出版社:集英社
発売日:2022年9月10日(第1刷発行)
メモ:私も地元の消防団に入団しています。

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あらすじ

連続放火事件に隠されたーーーーー真実。
東京での暮らしに見切りをつけ、亡き父の故郷であるハヤブサ地区に移り住んだミステリ作家の三馬太郎。地元の人の誘いで居酒屋を訪れた太郎は、消防団に勧誘される。迷った末に入団を決意した太郎だったが、やがてのどかな集落でひそかに進行していた事件の存在を知るーーーーーーー。

『ハヤブサ消防団』帯より

読書感想

田舎のコミュニティ

近年、テレワークが普及することに従って、地方に移住する人が増えてきた。
都会では体験することができない田舎でのスローライフを求めたものだ。
しかし、想像していた田舎暮らしとのギャップに悩む人も少なくない。

田舎のコミュニティは広く、そして深い
都会のマンション暮らしでは隣に住んでいる人でさえ関わりは少ない。
一方田舎ではいわゆるご近所付き合いが当たり前のように存在する。

そして何よりも忙しい
1年を通して様々な行事、その役割が一人ひとりに割り当てられる。

もともと地元に住んでいる人たちにとっては、子供の頃から見ている当たり前の出来事。
そこに疑問を持つ人は少ない。
途中から暮らし始める人たちにとっては、戸惑うポイントかもしれない。

田舎暮らしの現実は、中に入ってみないとわからない。
あまりに夢を見すぎると、ギャップに苦しみ続けなければならない。

田舎の消防団

過疎化が続く田舎では消防団員の確保は急務である。
田舎の消防団の役割は主に以下である。

  • 地域の巡回
  • 消火栓の点検
  • 放水の点検
  • 火災/災害対応
  • 地域行事支援

消防団は地元地域で火災もしくは災害が発生した際に火災/災害対応を行う組織である。
団員は非常勤特別職の地方公務員という立場である。
そのため、活動による手当や年俸が支払われる。

消防職員とは違い、別の本業を持ちながら地元地域に貢献する立場となる。
消防団の役割は多岐に渡り、地元地域で行われる行事にも参加をする。
むしろ、火災や災害は1年を通して1度もないことが多い。

消防団は地元地域にコミットする立場であるため、
入団し活動することで地域住民との繋がりが広がっていく。

もちろん地元で長く暮らしている人にとっては全てが知った仲なのだが、
都会から移住してきた人が地元の消防団に入団することで仲間意識が高まることも事実である。
つくづく、田舎暮らしはやることが多いものである。

信じるものと信じたいもの

信じる信じたいことは大きく違う。
盲目になり正常な判断ができない時、大体信じたいという気持ちが強くなっている。

宗教にハマってしまう人もそうであるが、身近な例としてギャンブルもその1つだ。
勝つことによってお金をたくさん得られると信じたくなってしまう。
純粋に賭けること(予想/分析)に楽しさを見出している人はあまり失敗をしない。

「信じる」ということは受け身であり、後からついてくる感情である。
一方「信じたい」は物事の始まりであり、能動的である。

普段生活をしていて、信じるという感情を意識することは少ない。
なぜなら、無意識下で人は信じるからだ。

「信じる」から「信じたい」と気持ちが変化することによって途端に意識をし始める。
信じたい対象から逃れたい場合は、信じていた対象に目を向ける。
そこには当たり前に存在していた家族や友人など、日々意識することがない大切な存在がある。

まとめ

今回は小説『ハヤブサ消防団』池井戸 潤著のご紹介でした。
平穏な田舎町で起こる様々な事件。
田舎町特有の生活感と連続事件とが相まって、独特の世界観を味わうことができました。

私も田舎育ちで地元の消防団に入団していることもあり、
内容に共感する部分が多くありました。

ドラマ化もされるようなので楽しみです。

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