【独自感想】『麒麟の翼』東野 圭吾

小説

今回は小説『麒麟の翼』東野 圭吾(著)のご紹介!加賀恭一郎シリーズの9作目となります。
こちらは映画化された作品です。
一人の男性が胸を刺された状態で日本橋まで移動をした。その理由にはある家族の隠された真実がありました。

書籍の情報を以下にまとめます▼

INFO
タイトル:『麒麟の翼』
著者:東野 圭吾
出版社:株式会社 講談社
発売日:2014年2月
メモ:人気の加賀恭一郎シリーズの9作目

あらすじ

「私たち、お父さんのこと何も知らない」。胸を刺された男性が日本橋の上で息絶えた。瀕死の状態でそこまで移動した理由を探る加賀恭一郎は、被害者が「七福神巡り」をしていたことを突き止める。家族はその目的に心当たりがない。だが刑事の一言で、ある人物の心に変化が生まれる。父の命懸けの決意とは。

『麒麟の翼』裏表紙より

読書感想

「無」の世界に生きる人たち

人間、幾つになっても将来に対して希望を持って生きていきたいものである。しかし、現実には自分の人生に対して諦めムードが漂っている人が一定数いる。こうした人たちに共通しているのは、「無」の感情である。何をするにも感情が伴わず、特に仕事においてその傾向が顕著に現れる。

仕事は生きる上で重要な役割を担っており、それが人生を明るくするか、暗くするかを大きく左右する。仕事が順調であれば、自然と人生も明るく前向きなものになる傾向がある。一方、満足のいく仕事に就けていない人は、仕事そのものだけでなく、人生全体がネガティブなものになりがちである。

仕事に対する無の感情、すなわち喜怒哀楽がなく、ただ機械的に日々を過ごしている人は、まるで時間の経過をただ待っているかのように見える。こうした状態に陥ると、自己の成長や達成感を感じることが難しくなり、ますます人生に対する希望や意欲を失ってしまう。

人間よ、役割を見いだせ

世の中に存在するものは、すべて何かしらの役割を担っている。一本の釘でさえ、木に打ち込まれることでその役割を果たしている。しかし、その役割を果たせなくなったものは、ゴミとして捨てられる運命にある。しかし、近年ではそのゴミに対しても再利用し、新たな役割を与える試みが進んでいる。この視点から考えると、世界を豊かで平和に保つためには、いかに役割を持たないものを生み出さないかが重要であると言える。

現代社会では、テクノロジーの発展により、新しい役割を担うサービスや技術が次々と生み出されている。これらの最新技術とどのように付き合い、活用するかが、私たち人間に課せられた大きな課題である。特に、AIの発展が進む中で、AIが様々な決断を自ら下す時代が訪れる可能性がある。その時、人間が自らの役割を見失い、不要な存在となる危険性も考えられる。

人間がゴミとなるかどうかは、私たちが自身の役割をどう定義し、維持するかにかかっている。AIやテクノロジーの進化により、多くの役割が機械に代替される可能性がある中で、人間が持つべき役割を再定義し、それを活かす方法を見つけることが求められる。

他人の心うちは評価できない

慢心という言葉は、おごり高ぶる心を指し、物事を軽視すると痛い目を見るという警告を含んでいる。何事にも敬意を持って取り組むべきであるという教訓である。一方で、気持ちが閉じこもり、消極的な行動しか取れない状態に陥ることもある。これは、本当はこうしたいという思いがありながらも、実行する勇気を持てず、ネガティブな感情が行動を阻む状態である。この状態が長く続くと、結果として「何もしなかった人」という烙印を押されかねない。

頭の中でどれほど考えを巡らせても、それを表に出し、行動として示さなければ、この世の中では評価されず、実績として認められない。実際の行動こそが、成果を生むのであり、評価を受けるためには具体的な行動が必要である。ここで注目すべきは、時にはおごり高ぶる感情が必要な場面も存在するということだ。

適度な自信や自己肯定感がなければ、新しい挑戦やリーダーシップを発揮することは難しい。慎重さは必要だが、同時に積極的に自分を押し出す勇気も求められる。慢心は危険であるが、全ての挑戦を恐れ、行動を控えることもまた、成長を妨げる大きな要因となる。

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