【独自感想】『眠りの森』東野 圭吾

小説

今回は小説『眠りの森』東野 圭吾(著)のご紹介!加賀恭一郎シリーズの2作目となります。事件の舞台は名門バレエ団。バレエには馴染みのない私でしたが、そこで巻き起こる人間模様はどこの世界でも起こることは同じなんだなと。

一つのテーマでもある「正当防衛」という仕組みにも着目しながら読むとさらに楽しめる作品だと思います。バレエの美しさの裏に隠された事件模様に驚かされます。

書籍の情報を以下にまとめます▼

INFO
タイトル:『眠りの森』
著者:東野 圭吾
出版社:株式会社 講談社
発売日:1992年4月15日(第一刷発行)
メモ:人気の加賀恭一郎シリーズの2作目

あらすじ

名門バレエ団で男が殺された。被疑者は居合わせたバレリーナ。正当防衛を主張するが、その証拠は見つからない。事件が混迷をきわめる中、『眠りの森の美女』を模した殺人事件が起こる。捜査にあたる加賀恭一郎は、被疑者の親友のダンサーと出会う。気丈に稽古に励む彼女に惹かれながらも、辛い決断の時が迫る。

『眠りの森』裏表紙より

読書感想

安心するために練習をする

人間は練習を通じて、以前は不可能だったことを可能に変えることができる。練習は、成功の確率を高める手段であり、失敗を避けるための努力でもある。私たちは、練習を重ねることで、「普通にやれば問題なくできる」レベルに到達しようとする。このレベルに達することは、安心感をもたらし、自信を与える。しかし、人生は予測不可能な出来事で満ちており、どれだけ練習を積んでも、予期せぬ事態に直面することは避けられない。

予想外の出来事は、私たちの計画や予測をはるかに超えることが多く、そのような時、練習によって培ったスキルや知識が真価を発揮する。練習は、特定の技能を向上させるだけでなく、柔軟な思考や迅速な対応能力を養う。これらは、予期せぬ状況に対処する際に不可欠な要素である。

したがって、練習の重要性は、単に成功の確率を高めることにとどまらず、未知の状況に対する準備でもある。予想外の事態に直面した時、練習を通じて得た経験や知識が、私たちを支え、導く。練習は、予測可能な成功への道だけでなく、予測不可能な挑戦に立ち向かう力をも育むのである。

顔が好きだから付き合う

人間の好みが「外見」と「内面」に分けられることは、恋愛においてよく議論されるテーマである。外見を重視することが軽薄な印象を与えがちな一方で、内面の重要性を強調する人も少なくない。しかし、初対面の相手に対して興味を持つこと自体が、ある種の奇跡とも言える。初めて会ったばかりの相手の内面を深く理解することは、通常は不可能に近い。従って、外見に何らかの魅力を感じなければ、その人の内面に興味を持つ機会すら生まれない可能性が高い

外見と内面のどちらが重要かという問いに対しては、実際にはその両方が重要であるということになる。外見が最初の関心を引き、その後、内面の魅力がその関係を深める。外見だけでなく内面も含めた全体的な魅力が、人と人との関係を築く上での基盤となる。外見に惹かれて始まった関係でも、その後の内面的な魅力がその関係を持続させるかどうかの鍵を握る。

したがって、外見と内面のどちらか一方を選ぶというよりは、両方のバランスが人間関係において重要である。外見によって引き寄せられ、内面によって結ばれる。この相互作用が、人間関係の深まりを促すのである。

お前が先に殴った

正当防衛という法的概念は、自己または他者を守るために必要最小限の力を行使することを許容するものである。ドラマや映画では、相手が先に攻撃してきた場合に反撃することが正当防衛として描かれることが多い。しかし、現実世界では、正当防衛の成立条件はより複雑であり、単に相手が先に攻撃してきたからといって、どんな反撃も許されるわけではない

正当防衛の成立には、攻撃が不法であること、防衛行為が必要最小限にとどまること、避けることが不可能であることなど、多くの条件が考慮される。これらの条件は、状況によって異なるため、一概に正当防衛と認められるかどうかを判断するのは難しい。また、防衛の程度が過剰であった場合、それは正当防衛とは認められず、過剰防衛として処罰の対象となることもある

したがって、正当防衛に関する判断は、具体的な事案の詳細を慎重に検討し、法的な基準に照らして行われる必要がある。現実においては、相手の攻撃を待って正当防衛を主張するような状況は稀であり、実際にはより複雑な判断が求められるのである。正当防衛は、自己や他者を守るための手段として認められるものの、その適用には厳格な基準が存在することを理解することが重要である。

まとめ

今回は小説『眠りの森』東野 圭吾(著)のご紹介でした!複雑に絡み合う人間関係と心理を巧みに描き出したミステリー作品です。この小説は、ただの犯罪小説にとどまらず、登場人物たちの深層心理や、人間の持つ暗い側面を浮き彫りにします。物語は読者を次々と展開する謎と緊張感の中へと引き込み、最後まで目が離せません。

映像化もされている作品のため、小説と映像の両方からこの作品を楽しむことができます。

コメント