【独自感想】『疾風ロンド』東野 圭吾

小説

今回は小説『白銀ジャック』東野 圭吾(著)のご紹介!先日購入した新装版3作品の第二弾!今回もとあるスキー場が舞台ですが、前回の『白銀ジャック』とは違ったテイストの事件が勃発します。

様々な人間模様が描かれていて、小説でありながら現実世界でも起こりうる場面がいくつもあります。登場人物たちの決断や選択が、彼らの運命をどのように変えていくのかがとても魅力的な作品となっています。

『白銀ジャック』東野 圭吾(著)の感想記事はこちら▼

書籍の情報を以下にまとめます▼

INFO
タイトル:『疾風ロンド』
著者:東野 圭吾
出版社:株式会社 実業之日本社
発売日:2023年10月15日(初版第1刷発行)
メモ:新装版として発売

こちらの書籍を購入した際の記事もご覧ください▼

あらすじ

研究所から極めて強力な生物兵器「K-55」が盗まれた。隠し場所を知りたければ3億円を支払えと脅迫してきた犯人だが、交渉する間もなく事故死してしまう。残された手がかりは、スキー場らしき場所で撮られたテディベアの画像だけ。生物兵器の回収を命じられた研究員・栗林は、息子と共に、とあるスキー場に向かうが、次々と困難が襲いかかりーーーーーーーーーーーーー。

『疾風ロンド』裏表紙より

読書感想

会ったこともない人の顔色を伺う

SNSの発達と共にこれまで各々の心の中で考えてきたことが公になってきた。SNS上での「つぶやく」はすでにその域を越え、社会に影響を与える力さえ持っている。この変化は、社会におけるコミュニケーションの在り方を根本から変えている。人々は、従来のように直接的な対面でのやり取りや、周囲の顔色を窺うことなく、インターネット上に散りばめられた誰かの意見に気を使い始めた

この変化は住みにくい世の中を生み出している側面もある。SNS上の発言は、時に過激で偏見に満ちたものとなりがちで、社会的な分断や対立を引き起こす原因となっている。また、人々はインターネット上の書き込みに左右される傾向が強くなり、それが現実世界の行動や意見形成にも影響を及ぼしている

SNSは人々のコミュニケーションの方法を大きく変え、社会に新たな影響を与えている。一方で、その影響は必ずしも肯定的なものではなく、社会的な課題を生み出すこともある。したがって、SNSを用いる際には、その影響力を意識し、責任ある使い方を心がけることが求められる。

幸せのニーズ

自分が幸せな人生を送ることが、周囲の人々にも幸せをもたらすという考え方は、表面的には他者を思いやる広い視野を持っているように見える。確かに、個人の幸福が周囲に良い影響を与えることは多い。しかし、この考え方には潜在的な危険性がある。それは、自分の幸せを追求する過程で、他者の幸福やニーズを見落とす可能性があることだ。

自分の幸せを最優先に考えることが、自己中心的な行動につながりかねない。最初は他者の幸せも願いながら行動していても、徐々に自らの欲望や目的のみに焦点を当てるようになると、周囲の人々の感情や状況を顧みなくなる。このような状況は、自分の幸せが他者の不幸を引き起こす原因となり得る

自分の行動が他者にどのような影響を与えるかを考慮し、自己中心的な視点に陥らないように注意する必要がある。自分の幸せを追求することは大切だが、それが他者の幸せを損なわないようにバランスを取ることが、真に幸せな共生を実現する鍵である。

好きとの出会い

好きな人の顔を思い浮かべようとすると、時にはその顔がはっきりとしないことがある。これは、無意識に好きな人を頻繁に見ているため、特定の表情や特徴を捉えにくくなっている現象らしい。好きという感情は非常に複雑で、様々な要素が重なり合っている。その人の存在自体が好きであるため、距離が離れていても、その感情は変わらない。10メートル先にいても、100メートル先にいても、その人への愛情は変わらないのだ。

この現象は、単に外見的な特徴を超えた感情の深さを示している。好きな人の存在自体が、心の中で特別な位置を占めている。出会った瞬間に、その人への感情が形成され、時間と共にその感情は深まっていく。好きな人の顔が思い浮かばないことは、その人の外見よりも、その人との関係性や共有した経験、感じた感情が重要であることを物語っている

このように、好きという感情は単なる外見の魅力だけではなく、その人の存在全体への深い愛情を含んでいる。その人の存在が、私たちの心に深く刻まれているため、特定の表情や特徴を思い出すことが難しくなるのかもしれない。しかし、それはその人への愛情が深い証拠であり、その人の存在自体が私たちにとって大切な意味を持っていることを示している。

まとめ

今回は小説『白銀ジャック』東野 圭吾(著)のご紹介でした。複雑に絡み合う登場人物たちの心理と、予測不可能な展開が見事に描かれています。

この物語は、ただのサスペンスに留まらず、人間の心理や倫理について深く考えさせられる作品です。途中現代的な表現もあり、自分の考えと照らし合わせながら読み進めていました。最後まで目が離せない緊張感と、読後に残る深い余韻が魅力的です。

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