『対岸の彼女』角田 光代

小説

今回は小説『対岸の彼女』角田 光代著のご紹介。
専業主婦の女性、ベンチャー企業の女社長、姑、母親、女友達。。。。
女性にスポットライトを当てた作品。

「対岸の彼女」
どこか正反対であり、見えてはいるけど手の届かない存在のようで悲しさを感じます。

書籍の情報を以下にまとめます▼

INFO
タイトル:『対岸の彼女』
著者:角田 光代
出版社:文藝春秋
発売日:2007年10月10日(第1刷)
メモ:第132回直木賞受賞作

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あらすじ

専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが・・・・・・・。結婚する女、しない女、子供を持つ女、持たない女、それだけのことで、なぜ女どうし、わかりあえなくなるんだろう。多様化した現代を生きる女性の、友情と亀裂を描く傑作長編。第132回直木賞受賞作。

『対岸の彼女』裏表紙より

読書感想

鏡に映った自分

人は誰しも内面的な自分外見的な自分を持ち合わしている。
人といるときは気を使い外見上、いい人を演じる。
心の中では内面的な自分が顔を出す。

本当の自分を知っているのは自分だけ。
だけど、今鏡に写っている自分の姿が本当の自分なのかはわからない。

試しにニヤッと笑ってみる。
でも心の中は悲しい気持ちでいっぱいだ。
全てを理解しているようで、自分のことだって曖昧である。

口角を上げて笑っている私の顔は引き攣っている。
こんな顔をして人とコミュニケーションをとっていたのかとゾッとする。
ある意味、それが嘘だとはっきりわかる笑顔。

他人との関わりが得意な人は笑顔も自然である。
偽りの笑顔は次第に上手になり、なんだか本当に楽しい気持ちに錯覚する。

鏡に映った自分。
細部まで行き届いた笑顔にげんなりする。

引っ張る人と引っ張られる人

出会いというものは不思議だ。
出会った人によってその後の人生だって変わってしまう。

人との関わりは常に引っ張る人と引っ張られる人である。
一人では乗り越えられない壁もこの人となら乗り越えていけそう。
そんな人と出会えることはまさに奇跡である。

たったの、人と出会うだけである。
法律が変わったわけでもなく、経済が変わったわけでもなく、ある人と出会っただけ。
そういった出会いの裏には必ずチャンスが隠れている

一旦冷静になり、現状を理解する。
すると、今自分が置かれている立場が意外にも恵まれていることに気が付く。
逆に気がつけない人は、いつまで経ってもチャンスを掴むことはできない。

ハンカチ落としという遊びがある。
鬼ごっこのようなものだ。
チャンスとはハンカチ落としのように気がつかないうちにフワッと、落ちていたりする。

どこかへ行きたい、でもどこにも行けない思春期

子供の頃、特に思春期は将来に対する希望がいやに強い
もちろん経済的にも独立はしていないため、行動範囲は狭くなる。

そのもどかしさに耐え、将来の奮起に燃えることも思春期特有なのかもしれない。
しかし、大人になっていくにつれ、様々な経験や知識が邪魔をすることもある。

子供の頃に考えていた将来像とかけ離れてしまうことも多々。
わかってはいるのだけれども、見えない何かにブレーキをかけられているような感じ。
そこから殻を破って行動に移せた人は、それだけで特別な人生となる。

いかに純粋な気持ちを忘れず、大人になっていくか。
怖いもの知らずは根拠のないことではなく、必要な武器でもある。

どこかへ行きたい、でもどこにもいけない思春期に感じたものを
大人になってから叶えることはロマンがある。

自分の年表を作ったとき、そこがキーポイントになる可能性は多い。
ちょうどこの10月の終わりから11月の初めに至る時期、夕方に香る独特な匂い。
この匂いを嗅ぐと、子供の頃をふと思い出す。

まとめ

今回は小説『対岸の彼女』角田 光代著のご紹介でした。
女性にスポットライトを当てた作品で、結婚をして子供がいる女性、未婚の女性、女社長。。。。
様々な立場の女性が同じ地球という場所で暮らしている。

もちろん、全ての人が納得するような平等な社会ではありません。
でもその不平等さや不条理さとうまく付き合って生きていかなければならない。
とても難しいことのように聞こえますが、私たちは現在進行形でそれをしているわけです。

小説『対岸の彼女』を読んで、他人に対する気持ちを考えさせられました。
生活している以上、他人との関わりは絶対あります。
その上で少しでも相手のことを思うことで、行動も変わってくると感じます。

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