【独自感想】『タルト・タタンの夢』近藤 史恵

小説

今回は小説『タルト・タタンの夢』近藤 史恵著のご紹介!
一軒のフランス料理店、「パ・マル」での物語です。

お店を訪れたお客に起った出来事を「パ・マル」の店長が解き明かす。
新感覚なミステリー小説です。

書籍の情報を以下にまとめます▼

INFO
タイトル:『タルト・タタンの夢』
著者:近藤 史恵
出版社:株式会社 東京創元社
発売日:2014年4月30日(初版)
メモ:ミステリ作品が7篇収録

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あらすじ

商店街の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マル。シェフ三舟の料理は、気取らない、本当にフランス料理が好きな客の心と舌をつかむものばかり。そんな彼が、客たちのの巻き込まれた事件や不可解な出来事の謎をあざやかに解く。常連の西田さんが体調を崩したわけは?フランス人の恋人はなぜ最低のカスレをつくったのか?絶品料理の数々と極上のミステリをどうぞ!

『タルト・タタンの夢』裏表紙より

読書感想

こういう時に必ず飲むのも

例えば、朝はコーヒー。昼はお茶。夜は紅茶。といったように、こういう時はこの飲み物を飲むといったことがある。呑み会の席で、「とりあえずビール」もその一つである。逆に、夜にコーヒーを飲むことだったり、呑み会の終盤にビールを飲むことに対しては馴染みがない人が多い。

夜にコーヒーを飲むとカフェインの影響で眠れなくなってしまう恐れがあったり、呑み会の終盤では喉越しを楽しむビールは適さないと考えられているからだろうか。しかしその人にとっての決まり事を否定するものよくない。夜にコーヒーを飲むことでリラックスできる人もいるだろうし、呑み会の締めの一杯で大好きなビールを飲みたい人だっている。

また、子供の頃からの癖で、この飲み物はこのタイミングで飲むんだよなといったこともある。例えば、風呂上がりに必ず牛乳を飲むだとか、風邪を引いた時にポカリスエットを飲むだとか。ポカリなんて、普段生活していて気にも留めない。しかし、風邪をひき、体の体温が上昇していくにつれ、ポカリを欲してくる。熱で熱った体にじわっと染み込んでくる感覚はポカリ独自のものなんだろうと勝手に思ってしまっている。

言葉のニュアンスの違い

何かをしてもらった時に「ありがとう」というのは当たり前なことではあるが、相手が親しい人だとあまり言うことができない。小っ恥ずかしいと言う表現が近いのかもしれない。お店の人や職場の同僚に対しては何も気にせず「ありがとう」と言うことができる。

しかし、よく考えてみると、「ありがとう」という言葉を発しているだけで本当に感謝の気持ちがあるのかと問われるとよくわからない。ある種、礼儀知らずな人だと思われないための発言だったりする。その点、親しい人に対して言う「ありがとう」は本当に感謝している時に自然と出てくる。だから、意識して言う「ありがとう」は小っ恥ずかしいのかもしれない。

ただ、いくら親しい人であってもろくでもない人間と思われるのは嬉しくない。言葉は悪いがなんとかして形だけでも感謝を表したいものである。そこで考えた結果、「ありがとう」と言葉にすることは小っ恥ずかしいため、「Thank you」と言うようにしてみた。すると、同じ意味の言葉なのに、「Thank you」の方が言いやすいことに気がついた。

これは、英語の「I love you」と日本語の「愛してる」と同様で、外国人が頻繁に「I love you」と言うのに対して日本人はあまり「愛してる」と言わないことに通ずるのかもしれない。言葉のニュアンスが違うだけで、発言する側の感覚も異なってくる。ここで一つ疑問なのは、「ありがとう」と言われるのと「Thank you」と言われるのとでは受け取る側の感情は変わるのだろうか?

自分の隠れ家を見つけた時

皆さんは、行きつけのお店などはあるだろうか?なんでかわからないが、居心地のいい店。決してお世辞にも料理が美味しいわけではないのにたまに行きたくなる。失礼な話、そういったお店は大体空いている。予約なんてしなくてもいつでも入ることができる。いい表現で言えば、隠れ家的なお店

そのお店との出会いは、ある土曜日の夜。突発的に飲みに行きたくなった私は近所をぷらぷらと歩いていた。ファミリー層が多い街ではあるが、意外にも居酒屋が多い地域。店内からはすでに出来上がった人たちの笑い声が漏れてきている。土曜の夜だからどこの店も混んでいる。

そんなことを思いつつ、ある大通りを曲がったところに半地下に構える呑み屋があった。外にかかっている暖簾の下から中を見てみると、人らしき姿が見えない。やっていないのかと思いつつ引き戸を開けると、店内に置かれた小さなテレビからお笑い番組が流れていた。やってる。それでわかった。

いらっしゃいませと店主に声をかけられ、カウンターに座る。客の訪れに少し焦った様子の店主を見ると、さては繁盛していない店だなということがわかる。しかし、そんな店に定期的に通ってしまっている自分がいる。「通っている」という言葉を使うということは、もうそこは自分にとっての居場所なのかもしれない。

まとめ

今回は小説『タルト・タタンの夢』近藤 史恵著のご紹介でした!
フランス料理店とミステリを掛け合わせるのは、なかなか想像できませんでしたが、店を訪れる客と店主とのやりとりの中で謎が明かされていく物語はとても読んでて楽しかったです。

ストーリーも章単位で一つの謎が解かれるため、ゆっくりじっくり読み進めることができます。そのため、隙間時間で読書を楽しみたい人におすすめの作品です。

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