『倒産続きの彼女』新川 帆立

小説

今回は小説『倒産続きの彼女』新川 帆立著のご紹介!
『このミステリーがすごい!』大賞受賞作である、『元彼の遺言状』の続編

本作品も弁護士が主要人物。
弁護士特有の難しい専門用語は少なく、純粋なミステリーとして楽しめます!

弁護士が謎に迫っていくストーリーは今までになく、
一風変わったミステリーを読みたい人におすすめの作品です!

書籍の情報を以下にまとめます▼

INFO
タイトル:『倒産続きの彼女』
著者:新川 帆立
出版社:株式会社 宝島社
発売日:2022年10月20日(第1刷発行)
メモ:『元彼の遺言状』の続編

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あらすじ

倒産の危機に瀕する老舗のアパレル会社・ゴーラム商会を救うため、弁護士の美馬玉子は先輩の剣持麗子とともに「会社を倒産に導く女」と噂される経理課の女性の身辺調査を行うことになった。ブランド品に身を包み、身の丈に合わない生活をしている彼女は、会社の金を横領しているのではないか。ところが調査を進めるさなか、ゴーラム商会の「首切り部屋」と呼ばれる小部屋で死体が発見され・・・・・・・。

『倒産続きの彼女』裏表紙より

読書感想

人生は平等か?

基本的人権には「平等権」がある。
平等権とは、性別や年齢、職業、生まれた場所に関係なく、
すべての人が等しい扱いを受けるという権利だ。

近年、セクシャルマイノリティの観点からもこの平等権については議論がされている。
それだけ不確かなものであり、これからも改善されていくものなのだろう。

ここで取り上げる人生の「平等」とは、仮に「平等」というものが確立されていたとして、
人々は何を境に振り分けられていくのかということだ。

例えば、同じように学校の授業を受けている生徒であっても、
テストで満点を取れる生徒もいれば、そうでない生徒もいる。
平等の扱いを受けているのであれば、同じスピードで成長するものではないのか?

運動神経もそうである。
小学生の時は足が速いだけでモテることができる。

持って生まれた才能や両親からの遺伝という考えを持ち出してしまうと、
生まれた時からすでに平等という思考は崩れてしまう。

結局、平等について悩んでいる根本は、生まれたときに決定する、
自分ではどうすることもできないことが多いのかもしれない。

違いを知る

人間はみんな違う生き物という考えがある一方で、
何か共通なものがあると嬉しくもなる

特に恋愛における共通点は、男女の仲を引き寄せる大きな要因ではないか。
好きな人との共通点を1つでも多く見つけることで心に安心感を抱く。

しかし、他人との違いを見つけることによって安心感を抱くこともある。
それは、嫌いな人であったり、極悪人に対してだ。
違いを多く見つけることで、その人との関係を遠くする。

共通点を多く見つけることを運命的な出会いと表現することもあるが、本質は違う。
なぜなら、何よりも感情が先行しているからだ。
すなわち好きだから共通点を探す、嫌いだから違いを見つける。

その人との共通点を見つけている時点で、好意を抱いている。
しかし、恋愛が難しいのはこれからだ。
共通点を見つけると、そこからさらに細分化される。

「読書好き」といってもジャンルは様々だ。
小説、漫画、雑誌、ビジネス書、ノンフィクション。。。。。
結局は相手の違いにどれだけ寄り添えるかが重要になってしまう。

渋柿

私が今まで出会ってきた柿の中には2種類の柿がある。
1つは甘い柿。もう1つは渋い柿だ。

渋柿をかじってみると、口の中が痺れるように麻痺する。
同じ食べ物とは思えない風味を醸し出す。

しかし、渋柿には別の顔があるらしい。
すなわち干し柿だ。
干し柿は渋柿を外に干すことで出来上がる。

外に干しておよそ3週間ほど経った干し柿(渋柿)は、
身が柔らかくトロンとした甘さをまとっている。
これまた同じ食べ物とは思えない変わりようである。

この3つの柿である、最初から甘い柿、渋柿、渋柿からの干し柿は人生観にも用いられる
みんながみんな最初から甘い柿として生まれてくることはできない。
つまり、渋柿として生まれてしまうことだってあるのだ。

しかし、そこから外に干され冷たい風に当たり続けることによってものすごい甘味を手にいれる。
その甘さは「最初から甘い柿」よりもはるか高いスコアだ

人生においてもスタートダッシュを決め込める人もいれば、スロースターターの人もいる。
着実に経験を積むことでたとえ出遅れたとしても、大きく捲ることが可能である。
そのためには、冷たい風に耐えるくらいの強い信念が必要となる。

まとめ

今回は小説『倒産続きの彼女』新川 帆立著のご紹介でした。
前作である『元彼の遺言状』も読んでいたのですが、
また違った切り口のストーリーでスラスラと読み進めることができました。

弁護士と聞くと難しい話かと身を構えてしまいがちですが、
そんなことはなく、ミステリー好きな人は純粋に楽しむことができます。

フィクションではありますが、弁護士という仕事は改めて大変なんだなと
作品を通して感じました。

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