【独自感想】『嘘をもうひとつだけ』東野 圭吾

小説

今回は小説『嘘をもうひとつだけ』東野 圭吾(著)のご紹介!加賀恭一郎シリーズの6作目となります。
事件というのは、大抵その裏に「嘘」が存在するものです。
ある種当たり前に存在する「嘘」にスポットを当てた作品、ストーリー展開が気になります。

書籍の情報を以下にまとめます▼

INFO
タイトル:『嘘をもうひとつだけ』
著者:東野 圭吾
出版社:株式会社 講談社
発売日:2003年2月
メモ:人気の加賀恭一郎シリーズの6作目

あらすじ

バレエ団の事務員が自宅マンションのバルコニーから転落、死亡した。事件は自殺で処理の方向に向かっている。だが、同じマンションに住む元プリマ・バレリーナのもとに一人の刑事がやってきた。彼女には殺人の動機はなく、疑わしい点は何もないはずだ。ところが・・・・・・・。人間の悲哀を描く新しい形のミステリー。

『嘘をもうひとつだけ』裏表紙より

読書感想

人間は嘘をつく生き物

人間は年間でどれほどの嘘をつくのだろうか。実際のところ、数えることが難しいほどに多くの嘘が日常的に交わされている。これらの嘘には、意識的についたものもあれば、無意識のうちについたものも含まれる。大多数の嘘は小さなものであり、高が知れている。しかし、時には人生を左右する重大な嘘をつく人もいる。

「嘘は泥棒の始まり」という言葉が示すように、嘘は時に深刻な結果をもたらすことがある。特に事件に直接関係する嘘をつく場合、その影響は甚大である。そのような嘘をつくと、しばしば嘘を重ねることになり、辻褄を合わせるためにさらに嘘をつくという悪循環に陥る。最終的に、嘘というものはその辻褄が合わなくなり、隠し通すことが難しくなる。

このような状況に陥るのは、嘘の根本的な問題である。嘘は一時的な解決策として使われることが多いが、その後の矛盾や問題を避けることはできない。嘘を重ねることは、真実を隠すための一時的な措置であり、それ自体がさらに大きな問題を引き起こす。

退屈な人生だと気がつく時

「過去に戻れるとしたらいつに戻りたい?」という質問は、誰もが一度は考えたことがあるだろう。この問いは、年齢を重ねるごとにその頻度が増えていく。そして、そのピークは人生の転換期を迎える30代から40代にかけてだろう。この時期は、ある程度自分の人生の行く末が見えてくる頃であり、多くの人が自分の選択や経験を振り返る時期である。

人生が思い描いていた未来よりも退屈に感じられると気づき始めたとき、人は「過去に戻れるとしたらいつに戻りたいか」と考え始める。これは、過去の選択をやり直し、異なる道を選ぶことで現在の状況を変えたいという願望が反映されている。しかし、過去への後悔や未練は多くの場合、現実逃避や理想化された記憶に基づくものである。

50歳を過ぎると、多くの人はそのような感情から解放され、冷静に自分の人生と向き合うことができるようになる。この年齢になると、過去の選択や出来事も含めて、自分の人生を受け入れ、前向きに生きることが重要であると理解する。過去に戻りたいという願望は、実際には自分自身の成長や変化を否定するものであり、今を大切に生きることの重要性を見失う原因となりかねない。

自分を見つめる

自分に正直な人間と、自分に正直になれない人がいる。一般的に、自分に正直な人は自己中心的に映りがちである。一方、自分に正直になれない人は、内向的で消極的な印象を与えることが多い。しかし、これらの特性をポジティブに捉えると、両者の印象は異なるものになる。

まず、自分に正直な人間は、自分の好きなことや嫌いなことに対して素直であり、その結果として人生をより充実させることができる。彼らは自分の感情や欲求に忠実であり、自分が本当に望むことを追求するため、自己実現に向けた行動を積極的に取る。これにより、彼らは生き生きとした人生を楽しむことができる。

一方、自分に正直になれない人は、他人の幸せや感情を重視する傾向がある。彼らは他人を思いやる気持ちが強く、自分の欲望を抑えてでも他者の利益を優先することが多い。このような態度は、他人との協調や共感を大切にする社会的な資質といえる。このタイプの人々は、周囲の人々に対して温かさや安心感を与え、良好な人間関係を築くことができる。

RPGゲームのキャラクターに例えると、自分に正直な人は攻撃的な役割を持つキャラクターであり、積極的に行動することでチームを牽引する。一方、自分に正直になれない人は、回復役として仲間のサポートに回るキャラクターに似ている。どちらのタイプも、チーム全体のバランスを保つために必要であり、異なる強みを持っている。

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