【独自感想】『笑って人類!』太田 光

小説

今回は小説『笑って人類!』太田 光著のご紹介!
著者はお笑いコンビ「爆笑問題」の太田 光さん。
読書家としても有名な方の作品です。

これまで数々の書籍を出版されてきましたが、
今回の『笑って人類!』はとても楽しみにしていた作品でした。

実は「太田上田」というローカル番組
(爆笑問題の太田さんとくりぃむしちゅーの上田さんのトーク番組)が好きで、
番組内では、数年前から小説を発表するという話題が上がっていました。

番組内ではなぜ書き終わった作品をすぐに出せないのか等、
太田さんの苦悶エピソードも紹介されています。
このような経緯があり、発売されたことを知って早速読んでしまいました。

書籍の情報を以下にまとめます▼

INFO
タイトル:『笑って人類!』
著者:太田 光
出版社:株式会社 幻冬舎
発売日:2023年3月10日(第1刷発行)
メモ:ダメダメ総理が世界を救う!?

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あらすじ

”マスターズ和平会議”はテロ国家共同体ティグロ代表・ブルタウにより破壊された。会議に遅刻し、世界に恥を晒したピースランド首相・富士見は、マスコミから糾弾され、デモ隊から生卵をぶつけられ、支持率は地に落ちた。しかし彼は会議を再開するべく、フロンティア合衆国の大統領代理・アンに想いを込めた手紙を送る。富士見は桜を始めとする個性のキツイ秘書達、そしてアンと彼女を支える国務長官・ダイアナとともに、武器ではなく「言葉の力」で、どんな国もどんな立場の人でも置き去りにせず、世界を一つにしようとする。しかし、両親をテロで亡くしたアンには、ある秘密があった。

『笑って人類!』裏表紙より

読書感想

独特な国、日本

日本という国は独特だ。
国固有の島国であるし、日本語は日本人しか喋らない。

陸続きの国では、日本でいう「県境」的な感じで国境が存在する。
当然、隣の国へ不法に滞在する人も多いことだろう。
その点日本は、大海原を経由しないと来ることができない。

世界的に見ても日本はどのカテゴリーにも属さない独自の文化が存在する国だろう。
それ理由なのかはわからないが、日本は比較的安全な国として認識されている。
また、「おもてなし文化」も注目され、多くの外国人観光客を満足させている。

インターネット上には日本ならびに日本人を評価する感想が多く書き込まれている。
スポーツ観戦後のゴミ拾いや公共施設の清潔さなど。

しかしそれらは「物珍しさ」からくる評価に過ぎない。
「こんな人類も存在するのか」ってな感じで。
そして日本独自の考え方は時によってはマイナスな影響も与える。

特に不自由を感じることなく過ごせている日本において、国全体に影響を及ぼす異物が混入すると
途端にその機関は冷静さを保てなくなる。
良くも悪くも世界は異物の排除に関して、日本よりも優れている。

冷静さを失った日本は世界から取り残され、孤立した国へと変わってしまう。
何かに対応する際は、他人の顔色を伺い実行を決める。
そんな対応では大きな改善は求められず、その場しのぎになってしまう。

客観的意見の崩壊

自分のことを主観的に見過ぎてしまうと、一般的な考え方からずれてしまうことがある。
そのため、仲の良い友人や家族から客観的な意見をもらう。
そうすることで自分では気が付かなかった考え方に触れることができる。

また、自分の意思をコントロールすることで、たとえ自身のことであっても
客観的に考えることができる。
これはスキルであり、みんなができることではない。

大半の人は他人からの意見によって客観的な考え方を手に入れることができる。
しかし、SNSの普及により、この客観的な意見が崩壊しつつある。

SNS上での意見は様々だ。
じっくりと熟考をして導き出した意見もあれば、片手間な意見もある。
果たしてその意見がどちらの意見なのか、それを私たち第三者が判断することは難しい。

いわば、SNSは客観的意見の無法地帯なのだが、
最近の世の中はこの無法地帯の意見を重要視するようだ。

SNS上の炎上もその一つではあるが、SNS上での興味関心は凄まじい速さで通り過ぎていく。
つまり、客観的意見の業火は鎮火するスピードも早く、気がついた時には対岸の火事なのだ。

SNS上の興味関心のスピードは、じわりじわりとリアルな世界の私たちにも迫りよってくる。
同じことを続けられず、すぐに新しいものに興味が移っていく傾向がまさにそうだ。

そのため友人に何かの相談をしたとしても、
友人が私の相談事に興味を示す時間はせいぜい前菜が食べ終わるまでだ。
このまま人々の興味関心のスピードが進行していくと、客観的意見は崩壊する。

鏡に映った自分

鏡に映った自分に話しかけたことはあるだろうか?
そして、鏡に映った自分は返答してくれただろうか?

寝不足が続いている時にふと鏡に映った自分の姿を見ると、びっくりすることがある。
目の下にクマができ、肌はハリを失い、顔全体から負のオーラが出ている。
明らかに寝不足という原因が元となり、表情として表現される。

酷い顔だなと思いつつ、寝不足の影響が顔にでもでないと、何も気がつくことはできない。
体の中では着実に寝不足の影響が出始めているが、それを逐一感じ取ることは不可能。
ある日ぽっくりと死んでしまう。寝不足が原因でなんて馬鹿げている。

普段意識していないことを意識することによって、新たな発見に出会う。
その一つが鏡に映った自分を見ることだ。

人からどう見られているのか、またはどう見えているのかは、自分で確かめることはできない。
初対面、人は見た目で判断されるという考え方も存在する。

どんなに真面目な人でも、寝癖が思いっきりついていると、
寝癖の人」というレッテルが貼られてしまう。
意図しないところで、意図しない誤解を招かないためにも自分を見ることは大切だ。

また、見た目で判断ができることならまだマシである。
寝癖があったら、髪を整えれば良い。
しかし、内面は鏡に映して確認することができない。

最も、見た目の印象が合格ラインであっても内面の印象が悪いと、不合格になるらしい。
鏡に映らない内面に対しては、自らに問いただすしか方法はない。

まとめ

今回は小説『笑って人類!』太田 光著のご紹介でした!
500ページ越え、しかも文章が上下段となっている構成でかなりの大長編作品です。

ストーリー自体はコミカルな要素もありつつ、現代的な話題が織り交ぜられている作品です。
冒頭でも紹介した「太田上田」という番組を見ている側からすると、
著者の太田さんの思想が作品に反映されているように感じることができました。

ぜひ、映像作品としても観てみたいです。

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